京都 花山天文台の将来を考える会

花山天文台の将来を考える会 趣意書

 千年という時間スケールを感じることのできる京都の地は、人間の一生に比べてはるかに長い時間をかけて変動する宇宙を感じ取り、その姿を解明しようとする営みに最もふさわしい場所です。

かつて京都大学花山天文台(京都市山科区北花山)では伝説の名人と呼ばれた技術者たちが望遠鏡のレンズや鏡の製作を行い、その開かれた技術者精神は民間企業との共同研究として花開きました。京都には、このような高い技術を持つ企業、多様な人材が集まり、最先端の学問と革新的な文化や技術を生み出す土壌があります。

花山天文台は昭和四年の設立以来、天文学の分野で最先端の研究成果を生み続けると共に、世界で活躍する多くの研究者を輩出して来ました。その一方、学問がまだ限られたエリートのものであった戦前の時代から一般市民向けの天体観望会を開催するなど、天文学・自然科学の普及に努め、現在も市民団体や行政と連携して、子どもたちへの科学教育と市民の生涯学習に貢献しています。そこで学んだ多くのアマチュア天文家達が育って行きました。

 宇宙研究の発展は現代においてもめざましく、私たちの世界観の革新をせまるような成果を生み続けています。花山天文台の研究者や学生達が最近発見した太陽型恒星のスーパーフレアは、私たちの太陽でも数千年に一度、地球に甚大な災害をもたらす巨大な爆発現象が起きうることを示唆する、人類文明にとって極めて重要な発見です。

宇宙は古代から人々の好奇心と畏怖の念をかき立ててきました。長い歴史と伝統を持つ京都の地では、千年以上前から人々が超新星爆発やオーロラなどの天変に目を向けてきました。明月記などに記されているそれらの天変の記録は、千年紀を超えた今も天文学の研究に活用されています。

  花山天文台将来計画は、天文台とそこで研究に励む研究者たちという京都大学の伝統の延長上に、歴史ある京都の地から宇宙へ目を向けることで生まれる新しい文化や産業の創造と発信、そしてそれらを通じた次世代を担う人材の育成を目指すべく、次のような整備を行おうとするものです。

京都花山天文台の将来を考える会  代表  尾池和夫

具体的構想

 地域住民や観光客の方々が自由に訪れて、天文・宇宙の世界に触れることができる花山天文台を目指します。そのために、次のような目標を設定し、その実現を図っていきます。

短期的目標(1~3年)
(1)現状で年30日程度受け入れている小中高校見学・実習を毎日受け入れ可能な体制を実現します。特に京都市教育委員会及び京都府教育委員会と連携して、京都の児童生徒や学校教員が一度は花山天文台を訪れることができるようになることをめざします。
(2)一般向けの天体観望会や講演会、大学や企業関係者の勉強会やワークショップ、音楽コンサート・展覧会・アーティストインレジデンス等の芸術・文化系イベントなどを開催します。
(3)インターネットやSNSを活用して多言語による発信を行い、海外からを含む観光客を東山・山科地区に引きつける新たな魅力となることをめざします。
(4)上記の目標を達成するめに、100人収容可能な講演室と山本天文台資料などを保管・展示する資料室を建設します。

長期的目標(4~10年)
(1)4次元デジタル宇宙シアターやプラネタリウムの投影ができるドームを備えた宇宙科学館(天地人ミュージアム(案))の設置を目指します。ここには、最先端の研究成果や宇宙・地球にまつわる歴史・文化を解説した展示、サイエンスアートの展示や若手アーティストの作品発表等ができるギャラリースペース、宇宙・地球や科学の本を閲覧できる図書スペース等を配置することを考えています。
(2)従来のインキュベーションセンターとは異なり、花山天文台の文化とも融合できるような、先端的ものづくりをテーマにしたイノベーションセンター計画を考えています。ここには、ものづくりを中心とした企業の展示スペースと、ベンチャー企業が入居し、来館者が実際の研究開発の現場を見ることができるオープンラボの設置を計画しています。
(3)星空観察会や野外コンサートなどの各種イベントが開催できる多目的広場の設置も考えています。ここでは、星空観察会など、花山天文台の自然に溢れた立地条件を活かした自然に親しむ教育啓発活動を行います。