京都 花山天文台の将来を考える会

三重県総合博物館館長・大野照文様 メッセージ

花山天文台は、初代山本一清台長、宮本正太郎台長をはじめとするすぐれた天文学者の活躍の場となり、多くの学術的成果を上げてきました。


特筆すべきは、初代山本一清台長が、世界に先駆けて天文学を志すアマチュアの人たちの育成に取り組まれ、広い裾野に支えられた、世界をリードする現在の日本の天文学の礎を築かれるきっかけを作られた場でもあります。


我が国には、自然、文化をはじめ多くのすぐれた遺跡、遺産があり、世界遺産などとして登録されています。しかし、不思議なことに、特に明治以降、我が国の学術や教育の発展に大きく貢献した施設やそのパイオニア精神を国民の皆さん全体にとっての遺産と位置づけようとする機運については、盛り上がっていないのが現状ではないでしょうか。


花山天文台は、すぐれた建築群、創建当時より大切に使われ、現在も大学での研究や、市民の観望会で親しまれている望遠鏡などを擁する、素晴らしい研究・教育遺産であります。


さらに、市の中心部からのアクセスも良く、しかも自然に恵まれた環境の下、先人の学術や教育に託した夢や情熱を、さらに未来世代へと引き継ぎ発展させるための新たな発想での施設を充実させてゆくだけの空間的余裕のある、素晴らしい立地でもあります。たとえば、最先端のベンチャービジネスのインキュベーションセンターのような施設も充実させることができるでしょう。


最近、京都を訪れる外国人の方もたくさんおられます。イギリスにグリニッジがあるように、日本には花山があり、国内外の、そしてお子さんから熟年の皆さんまでが、楽しく日本の天文学の歴史を学び、さらに日本の最先端の科学技術にも触れることができる、そういう場として花山天文台の発展を、皆さんとともに実現できればとねがっています。


三重県総合博物館 館長・大野照文